おもにBLD

スピードキューブ、特に Blindfolded (BLD) の記事を書きます。

上達のための「伸び代の見積もり」という考え方

こんにちは、酢酸ことSakakiです。1年前くらいから下書き状態だった記事をGWの時間を使って公開まで持っていきます。

2025年3月ごろ、メモリーリーグで特に急がなくても以下のスコアが安定して出る状態になっていました。

  • Images 30 in 24.x秒
  • Numbers 78 in 59.x秒
  • Cards 47 in 59.x秒

さらにスコアを伸ばしていくという観点で、競技間のスコアの違いに着目して伸び代を見積もって課題を発見するという話をYas選手から教えてもらったので、自分なりに言語化しつつ記事として公開します。

学習の4段階モデルを知る

学習の4段階モデル*1という考え方があります。これは、学習や上達のプロセスを「意識 / 無意識」(その技能の概念を認識しているか)と「有能 / 無能」(その技能を実践できるか)の2種類に分け、2×2=4通りの学習段階として分類するものです。

  1. 無意識的無能:自分が何を知らないのかに気づいていない
  2. 意識的無能:自分が何を知らないのかに気づき、学ぶ必要性を感じる
  3. 意識的有能:学習を通じて知識やスキルを習得し、意識的に実践できる
  4. 無意識的有能:習得した知識やスキルを無意識に実践できる

冒頭で書いた、メモリーリーグで特定のスコアが安定して出せるようになったという状態は、この4段階の中では(4)の無意識的有能に相当します。技能が身についた状態ですね。ここからさらに上達するには新しい技能の概念を認識し、また4段階を改めて登っていくことが必要です。どのように次の課題を認識して「意識的無能」に移るとよいのか。今回紹介するのは、自分の伸び代の度合いを見積もるという方法です。

自分の伸び代の度合いを見積もる

闇雲に自分のベストスコアの少し上を目指そうとするのではなく、自分の伸び代を見積もりましょう。これには3つの効果があります。

  • いくつかの伸び代を比較して、効果が高いものから選んで取り組めること
  • 着目している要素を明確化することで、分析したり深掘りしたりできるようになること
  • その伸び代を埋めることができれば自分のスコアは上がるはずであるという期待感と納得感があるので、努力を継続しやすいこと

伸び代を探すことはひとつの競技内で伸び代を探すことと、複数の競技間での比較によって伸び代を探すことの2つに分けることができます。

ひとつの競技内で伸び代を探す

トランプ記憶: SCCで平均記録を残すためにやったこと でやっているようなやり方です。

  • 変換が遅いカードを特定する
  • 正解率が低いカードを特定する
  • 遅い場所を特定する

など。

あとは、

  • (変換の時間 + 場所を辿る時間) に対して記憶時間を比較して、何が原因であるかを探る

というのもいいですね。

複数の競技間での比較によって伸び代を探す

これが自分にとっては意識的に考えていなかった観点でした。場所を使う競技については、Imagesが全ての根幹となります。Imagesのスピードを元に、同じく場所を使うCards, Numbers, Wordsのスピードを見積もることができます。 簡単のため、最後の詰め込みの時間を無視して、

  • Imagesが24.9秒なので、1イメージあたりは0.83秒である
  • Cardsで今は60秒間に正解できているのは47イメージで、hinemosでの記録によると変換には平均0.94秒かかっているので、 (0.83秒 + 0.94秒) * 47イメージ = 1.77 * 47 = 83.19
  • Numbersは40イメージで、同じく(0.83秒 + 0.91秒) * 40イメージ = 1.74 * 40 = 69.6
  • 実際のRecent Top 5と比較すると、Cardsは見積もりよりも23秒速く、Numbersは11秒速い
  • ということは、単純計算ならNumbersをあと12秒伸ばせるはず
    • あるいは、Cardsと同じスピード感でNumbersをやった場合に正確性が落ちてRecent Top 5に残らない要因があるのではないか

Wordsについてはイメージが固定的ではないので見積もりにくいですが、例えば1周目で32イメージを30秒で見ているなら、

  • 1周目で1イメージあたりに使っている時間が 30/32 = 0.93秒
  • Imagesから算出された0.83を引くと1単語あたりのイメージ化に使っている時間が0.1秒
  • Recent Bestの58.05秒を33イメージで割ると1イメージあたりは1.76秒

となる。ここから考えられることは、

  • 復習するかどうかやイメージが固定的ではないという違いはあるものの、CardsやNumbersに比べて1イメージあたりに割いている時間は同程度
  • 一方で、同じ時間をかけているのであれば正確さが課題となる
    • そもそも思い出せない?
    • 語尾ミス?

など。相対的に苦手な種目を特定したら、次は先述の「ひとつの競技内で伸び代を探す」をしましょう。

意識的無能から意識的有能になるための心構え

記憶の時に少し自信がなくても次を見る

自信や安心感があるコンフォートゾーンに留まっていると成長しません。メモリーリーグの対戦では自分でボタンを押さないと次に進まないので、少し自信がなくても、イメージが頭に浮かんだら思いきって次のイメージに進むことが重要です。

スコアの推移は連続的にはならない

1つ上の技能に目を向ける時には、現在の安定感を捨て去る必要があります。 具体的に測定したグラフではないですが、ざっくり以下の図のようになります。まずは黒線で、時間の流れに従って上下の波はありつつも技能が伸びていきます。次第に安定に至り、スコアのバラツキが小さくなります。次に赤線のグラフで、次の技能に目を向けて練習を始めると、最初は元よりもスコアが下がります。そしてまた上下しつつ、元のスコアを超えるようになり、安定に至るという流れです。

これを踏まえて、例えば私のようにCards 47枚が安定しているようであれば、

  • 100%の確度で47枚見て47枚
  • → 90%の確度で52枚見て47枚を目指す
  • → 実際は52枚見て42枚になる

というような感じですね。 42枚という元よりも低いスコアが出ても、それは新しい技能に取り組んでいる過程で必ず発生することなので、落ち込む必要はありません。気にせず練習を継続しましょう。

まとめ

  • 今の技能が安定したら次の技能に目を向けましょう
  • 自分の伸び代を見積もると次に着目すべき技能が見つけやすくなります
  • 新しい技能に取り組み始めた時に元よりもスコアが落ちるのは自然なことなので気にせず練習を継続しましょう